全国小津安二郎ネットワーク

小津監督を巡る文献・資料

『新潮45』第十九巻第七号通巻二百十九号(2000年7月1日発行、新潮社、292頁)

村川英「雪国の土蔵から出てきた『幻の小津映画』」(229-235頁)
※一部抜粋して紹介する。
新潟県湯沢町の隣の塩沢町の宇賀山家という旧家の土蔵から、日本映画史上「幻のフィルム」とされているフィルムが大量に出てきた。1920年代から30年代に作られた日本映画で、パテ・ベビーという9.5ミリフィルムによる映画作品の短縮版が発売されており、それが出てきた。今回、宇賀山家から見つかった映画は三十本。時代劇から和製アニメまであるが、その中の四本が、東京・京橋のフィルムセンターで35ミリに復元され、昨年十一月、「発掘された映画たち1999」と題して上映された。
 小津のサイレント映画「和製喧嘩友達」(29年、14分)、斎藤寅次郎『石川五右衛門の法事』(30年21分)、牛原虚彦『感激時代』(28年、19分)、熊谷久虎『本塁打』(31年、13分)。
 宇賀山コレクションを寄贈した宇賀山正昭氏は、現在は衣料品と化粧品を商うウカヤマ商店の15代目。塩沢町の中心部と駅通りが交差する角に店を構える。筆者の村川氏も、塩沢町出身で、この発見の手伝いをした。フィルムを購入したのは、父の正範氏(1900年生まれ)、レコードやヴァイオリン、アコーディオンやマンドリンなどの楽器の販売、銃やカメラ、昭和10年頃には、フォードを購入して、タクシー事業を始めたそうである。パテ・ベビーを買ったのも、昭和10年頃、九段にあったパテ社の代理店、伴野貿易で求めたものである。正昭氏は、父に連れられて、よく九段に行ったことを覚えている。八畳位の場所に、9・5ミリのフィルムがずらっと並んでいて、題名を見て作品を選んだ。正範氏が作品を選ぶと、伴野貿易は事務所の奥の試写室で試写をしてくれた。多芸や正範氏は、台本も全部自分で用意して、村人が喜びそうなセリフを書き込んだ。そして、正範氏は、神主の服装のまま、映写台の前に立って弁士ともなった。

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