全国小津安二郎ネットワーク

小津監督を巡る文献・資料

青木美樹(ピアノ)『東京物語~斎藤高順・ピアノ曲集』(2018年10月20日発行、キングインターナショナル・Profilレーベル)

世界初録音。小津安二郎が最初に聴いたピアノ版「東京物語」
 キングインターナショナルと「Profil」レーベル初の共同制作盤。キングインターナショナルが東京で録音し、「Profil」がドイツで製造・世界発売します。海外を拠点に活躍する青木美樹が、ヨーロッパで非常に人気が高く海外での需要が大きい小津映画の音楽を弾くうってつけの試みで、全曲世界初録音。
 斎藤高順は、信時潔門下の作曲家。後半生は航空自衛隊中央音楽隊長や警視庁音楽隊長を務めるなど吹奏楽の世界で活躍しましたが、何といっても小津安二郎の「東京物語」から「秋刀魚の味」までの映画音楽を担当、小津芸術のスタイル形成に寄与したことで知られています。
 斎藤は、まずピアノ用に書いた各ナンバーを小津安二郎に弾いて聴かせて是非を問うたといいます。その草稿が2015年に遺族のもとで発見されました。小津監督以外耳にしたことのない音を世界初録音。監督は斎藤に「楽譜は大事にとっておきなさい、役にたつ日がくるから」と伝えたとされますが、その予言が50年後に現実となりました。テンポの良い「サセレシア」、某ノンアルコール飲料のCMでも使われている「秋刀魚の味」のポルカももちろん収録。いずれも驚くほど効果的で美しいピアノ曲となっています。
 小津映画作品のみならず、斎藤高順作の美しいピアノ小品も集めています。学習用にもよく使われる『3つの宝石』をはじめ、メロディ・メーカーとしての才が光る魅力的なものばかり。吹奏楽分野での代表作・行進曲『ブルー・インパルス』の作曲者自身によるピアノ編曲も発見。こちらは技巧的で華麗なピアノ曲化しました。
 青木美樹は東京出身。9歳で渡英、12歳でロンドンのフェスティバルホールにて協奏曲デビュー。英国パーセルスクール卒業後渡米、インディアナ大学、イェール大学大学院に学び、ハンブルク音楽大学演奏家コースを首席で卒業。ジョルジュ・シェベック、ボリス・ベルマン、エフゲニー・コロリオフに師事。ハンブルク、ローザンヌ、グラーツで教鞭もとった。現在ニューヨークを拠点として演奏活躍を繰り広げています。(輸入元情報)

【収録情報】
斎藤高順:
小津安二郎映画の音楽(オリジナル・ピアノ版)
● 「東京物語」~主題曲と夜想曲
● 「早春」~主題曲
● 「東京暮色」~サセレシア
● 「浮草」~主題曲とポルカ
● 「彼岸花」~主題曲
● 「秋日和」~主題曲
● 「秋日和」~オルゴール
● 「秋刀魚の味」~主題曲とポルカ

● 軍艦マーチ(瀬戸口幸吉作曲/斎藤高順編曲)
● 3つの宝石~エメラルド
● 3つの宝石~サファイア
● 3つの宝石~トパーズ
● 3つの水彩画~みどり色の朝
● 3つの水彩画~黒と白のエチュード
● 3つの水彩画~オレンジ色の空
● 行進曲「ブルー・インパルス」(作曲者編ピアノ版)

「大宇宙のピアノ・ファンタジー」より
● 星の王子と王女の夜想曲
● 火星人のロボットのガボット
● 織姫と彦星のスペースロマンス
● ほうき星のビッグパレード
● 三ツ星のメヌエット
● 行進曲 偉い大先生
● ソファミレドラマーカミナリサンダー
● ワルツ 冠星座の回転木馬
● 天の川の舟唄
● 大宇宙遊覧ユーフォー
● 流星のジェットコースター

 青木美樹(ピアノ)

録音時期:2017年2月7日、6月22日
録音場所:東京、キング関口台第1スタジオ
録音方式:ステレオ(192kHz 24bitデジタル/セッション)

ライナーノーツ(ドイツ語・英語版)15頁
日本語解説書12頁

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