2018.12.27
山田宏一『友よ映画よ <わがヌーヴェル・ヴァーグ誌』(1978年2月10日発行、話の特集、323頁)
「日本映画への視線-アンケート’66」(147-156頁)
※当時のヌーヴェル・ヴァーグの小津評を知ることができる貴重なアンケートである。例えば、アラン・レネは次のように答えている。「パリで見られる日本映画の数はたかが知れたもので、なぜもっと見れないものかと腹立たしいくらいである。その数少ない日本映画のうち、私の心に最も深く残っているものは、まず『東京物語』、『早春』、『一人息子』、『東京の合唱』などの小津安二郎の諸作品である。小津作品の魅力を一言でいうのは不可能だが、少なくとも、彼の作品のほとんどの音楽的なリズム感は全くユニークなものだ。全てが静のようにみえながら、実は全てが確実な生命の躍動感に息づいている。セリフ、そして人物の目のまばたき、手の動き‥それら全ての些細なジェスチャーは、作品全体の旋律を構成する一つ一つの音符のような感じがする。私の作品の中で、『ミュリエル』(1963年)の画面構成に最も大きな示唆を与えてくれたのは小津作品である。」(154-155頁)