全国小津安二郎ネットワーク

小津監督を巡る文献・資料

四方田犬彦『日本映画史100年』(2000年3月22日発行、集英社、240頁)

「のちに独自の文体が非ハリウッド映画の典型であると評価された小津安二郎にしても、1920年代の初期作品では「バタ臭い」と揶揄されるほど、アメリカ映画から深い影響を受けていた。」(8頁)
「小津は最初、ノンセンス喜劇から出発し、ハリウッドのルビッチやヴィダーの影響を強く受けていたために「バタ臭い」と評された。彼はゆるやかに主題と文体を変え、大学生やサラリーマン、さらに下町の庶民を主人公に、人生をめぐる諦めと達観を好んで描くようになった。『落第はしたけれど』(1930)や『生まれては見たけれど』(1932)は、その典型と言える。ローアングルの固定画面から、人物の行為の無意味な反復まで、小津のフィルムには様式への衝動を強く窺うことができる。五十年代に至って、その文体の厳密さは完璧なものと化し、彼は巨匠として畏敬された。」(66頁)
「小津の描く日本人は政治的無関心において国策に協力もしなかった、進行中の危機に対しても無力かつ従順であり続けた。」(87頁)

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