全国小津安二郎ネットワーク

小津監督を巡る文献・資料

『NFCニュースレター』第115号「特集 映画監督 増村保造」(2014年6月1日発行、東京国立近代美術館フィルムセンター編、東京国立近代美術館発行、16頁)

とちぎあきら「小津安二郎カラー作品のデジタル復元を支えた3つの力」(8-9頁)
※一部抜粋する。「小津が『彼岸花』を手がけた1958年の雑誌『映画技術』No.82には、東映の技術委員会と日本色彩研究所の連名で、アグファカラーの色再現性に関する調査結果が報告されている(49-52頁)。そこでは、このフィルムの特徴として、三食の混合バランスは緑を主調としていること、自然光でもタングステン光でも再現特性が近似していること、彩度はどの色相も1/2程度減じていること、そして、赤付近の再現性がもっとも安定しないことが指摘されている。こうした特徴は、すでに1956年依頼アグファカラーに取り組んできた東京現像所の技師や大映のスタッフの間でも共有されてきたことであったが、小津は彩度を抑えた渋さを求めながら、自らの赤への偏愛を、その再現がもっとも困難と言われたフィルムに賭けたことになる。その意味で、曇天の空をバックに、赤レンガの東京駅の駅舎を捉えた『彼岸花』のファーストカットは、まさに小津のカラー映画への宣戦布告でもあったわけである。」(8頁)

最新の記事

カテゴリ

月別に見る

このホームページ内のテキスト・画像の無断使用はご遠慮下さい。