全国小津安二郎ネットワーク

小津監督を巡る文献・資料

『珈琲時光』(2004年9月11日発行、ビターズエンド、14頁)

小津安二郎生誕100年記念
候孝賢監督作品
「今回、この『珈琲時光』を製作することが、私にとってはハンディを背負うものであり、難しいであろうことは最初からわかっていました。しかし、20年近く日本と台湾を行き来し、日本人ではない私の目を通して、今の日本人の日常を切り取ってみたいと思ったのです。
 小津監督は本当にスタイリッシュで厳密な監督だと思います。小津監督と私の撮影スタイルはまったく違います。ただ、小津監督は、自分の生きる時代の社会を描き、そこにある心情を反映させてきた方です。その場所に生きているものを描いたという点では、この作品も同じであると思います。
 小津作品は、些細なディテールを拡大して見せてくれます。そして、角度によって違って見えるような微妙な変化を細やかに捉えていく。小津監督は古き良き時代を描こうとしたのではなく、時代の変化に敏感な人で、戦後の日本の価値観の変化もしっかりと見ていたのだと思います。
 今回、ほとんどのシーンは2度ほど撮り直したのですが、それは、撮影のために選んだ場所のリズムが時間とともに変化し、また違った顔が生まれたためです。そんな私のスタイルに合わせてくれた出演者の方たちの表情や動作に集中できたことも、私にとって貴重な体験でした。私はこの作品で、現実に存在し目に見えるものを撮り、そこに潜んでいる、目に見えないものを浮かび上がらせることができれば、と思っています。」(2頁)
解説、物語、主題歌「一思案」について、キャスト・プロフィール、
片山杜秀「江文也のこと」、スタッフ・プロフィール
『珈琲時光』で見る神保町界隈

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