全国小津安二郎ネットワーク

小津監督を巡る文献・資料

『澁谷松竹週報』第五十七號(1942年3月1日、澁谷松竹、4頁)

「名匠小津の父ありき
愛と信念の世界をこれほど克明に、微細に鋭いモラルの裏うちで描いた のはない。名匠小津の映画藝術への情熱は、遂に誇るべき最高傑作を生んだ!
笠智衆 老役の苦心
 私は、此の頃、他人の頭の型が気になって致方がありません。つくづく羨ましく思う。とても老役の頭にもってこいの良い型の頭をみかけるときがあります。そんなとき、その人の頭をむしりとって、自分の頭と据え換えたい衝動にかられます。ハッと気がいってヒヤッとすることも度々です。私など未だ一本の白髪さへない者が、平素友達仲間の、然も同年配の佐野周二君の父親になるんですから、容易なことではありません。舞台と違って写真は非常に正直です。人の眼は誤魔化せてもレンズはなかなか誤魔化せません。第一にまず扮装ですが、舞台ですと、絵具で皺を書けば一応老人にみへませう。所が、映画はさうは問屋が卸しません。髪で白毛頭にみせる所は、生の頭髪に白粉塗って工夫を凝します。」(3頁)
※佐野周二は、1912年生まれ、笠智衆は、1904年生まれで、8歳の違いである。

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