全国小津安二郎ネットワーク

小津監督を巡る文献・資料

『歌舞伎座ニュース』No.46(1930年10月、歌舞伎座、4頁)

「足に触った幸運 松竹キネマ蒲田撮影所超特作品
 原作脚色 野田高梧
 監督 小津安二郎
 撮影 茂原英雄
 物語のあらまし 郊外の小住宅に住む腰辯の古川はある朝大金を拾った、早速交番へ届けると間もなく落し主の久保井が訪れてお礼を云い三百圓置いて行った。この事件はすぐ會社に広がった。同僚の吉村老人は早速古川の許へ来て散々ほめちぎった挙句恐縮ですが十圓債券二枚買って頂けないでしょうかと切り出した。吉村の妻が十一人目の子供を近くに産むのだときいて古川も頼みを容れてやった。不時の収入で古川を取り巻く大井と山野はバーから待合へとすっかり散財させた。翌朝古川の妻は新聞で夫が大金を拾ったことを知り大喜び、然し夫の話をきき残金百七八十圓と知って柳眉を逆立てるのであった。翌日会社で課長から養鶏が儲かるから譲ろうとの話喜んだ彼は還って来た妻に話すともう金は妻が使った後であった。翌朝彼が力なく歩いていると新聞包みが落ちていた。彼はそっと拾って開いてみた。しかし残念にも中は飯粒だった」(2頁)

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