2017.07.26
『映画評論』第十八巻第八号(1936年8月1日発行、映画出版社、180頁)
特集:映画藝術読本
大塚恭一「日本映画監督論」(84―106頁)
※「五所平之助に次いで蒲田の最前線に進出したものは小津安二郎である。彼は傾向映画の全盛を他所に『大學は出たけれど』(昭和四年)、『結婚學入門』『落第はしたけれど』『お嬢さん』の如き喜劇作品の中に、現実を見る鋭い眼を以て、小市民生活の哀愁を描いた。」(94頁)「永年の協力者茂原技師の新システムによってその第一回トーキー作品を手がけんとする小津安二郎は、異色ある喜劇監督として現在最初のトーキーを製作中の斎藤寅次郎とともに、現在までの所無声映画の世界に取り残されている。」(100頁)