2020.07.30
『映画芸術』第18巻第1号269号(1970年1月1日発行、映画芸術社、126頁)
表紙:「さらば恋の日」
佐藤忠男「小津安二郎の芸術(第十二回) 初期の作品(つづき)」(76-79頁)
※冒頭を引用する。
「第三作『女房紛失』、第四作『カボチャ』、第五作『引越し夫婦』、いずれも昭和三年であるが、ここらは、あまり重要な作品ではないようである。いずれも、スラップスティック・コメディ、乃至はファースと呼ばれる種類のお笑い専門の短篇喜劇である。『女房紛失』と『引越し夫婦』については、小津自身、会社からの天下り企画だったと語っており、かけ出しの新人として、会社の命令のうち、比較的マシだと思える企画はどしどし引き受けて大いに働いたわけであろう。しかし、この評判は決して悪くはなかった。当時の批評を引用してみよう。」