全国小津安二郎ネットワーク

小津監督を巡る文献・資料

『新潮』第百十八巻第十号(2021年10月7日発行(9月7日発売)、新潮社、428頁)

平山周吉「小津安二郎 第十三回 第十三章 「夫」山村聰が「妻」田中絹代を打擲する「宗方姉妹」(234-244頁)
※冒頭を引用する。
 長女の有馬稲子の恋愛結婚に猛反対して、理不尽に怒り散らす「彼岸花」(昭和三十三年)の頑固オヤジは、佐分利信にぴったりだった。妻の田中絹代は夫の佐分利信を最終的に屈服させる自信があり、余裕綽々だった。有馬には京都からの助っ人・山本富士子と次女の桑野みゆきが応援団でついている。家庭内暴君の佐分利は、自分の思い通りに事が運ばず、部屋の中を動物園の熊状態になって、行ったり来たり徘徊する。佐分利本人の主観とは大違いで、一家の主としての権威はもはやない。頑固オヤジはこれでもかと戯画化されている。

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