全国小津安二郎ネットワーク

小津監督を巡る文献・資料

『新潮』第百十八巻第八号(2021年8月7日発行(7月7日発売)、新潮社、396頁)

平山周吉「小津安二郎 第十二回 第十二章 照れ屋の小津がうたった「軍歌」(228-238頁)
※冒頭を引用する。
 昭和三十四年(一九五九)五月二日(土)は、小津の生涯の中でも五本の指に入る佳き日だった。カラー第二作「お早よう」の完成試写会が午後にあり、夜にはカラー第一作「彼岸花」の日本芸術院賞受賞祝賀パーティーが盛大に行われた。試写会には畏敬する志賀直哉、里見弴の二文豪が出席し、夜の銀座の二次会には原節子が駆けつけている(『全日記 小津安二郎』)。
 芸術院賞は映画界初ゆえに、小津個人を超えてのお祝いとなった。この時、小津は五十五歳で、同時に受賞した『氷壁』の井上靖は五十一歳、『自然主義の研究』の吉田精一(東京教育大教授)は五十歳である。映画が文学よりも一段も二段も三段も下に見られていた時代の受賞だった。「キネマ旬報」(昭和34・7・下9では、「芸術院賞を受賞した小津安二郎」というグラビア頁で小津を特写している。その記事は、祝賀会の様子に触れている。

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