全国小津安二郎ネットワーク

小津監督を巡る文献・資料

『新潮』第百十八巻第四号(2021年4月7日発行(3月5日発売)、新潮社、420頁)

平山周吉「小津安二郎 第八回 第八章 「戦争未亡人」紀子と「社会的寡婦」百万人」(234-244頁)
※冒頭を引用する。
 昨年亡くなった古井由吉に『東京物語考』という本がある。昭和五十九年(一九八四)に出ていて、その時に読んでいるのだが、すっかり忘れていた。『「東京物語」考』だとてっきり思い込み、勢い込んで読み始めたら、肩すかしを喰らわされた。古井が関心を持つ徳田秋聲、葛西善蔵、嘉村礒多など、東京に移住した作家たちを「東京者」として括った上での文学論であった。その『東京物語考』の冒頭に「東京物語」のことが出ていると教えられ、久しぶりに手にとった。「東京物語」が公開された昭和二十八年(一九五三)に日比谷高校に入った古井少年は、五反田の映画館でひとり「東京物語」を観た。その日の回想から『東京物語考』は始まる。映画館を出ようとした時、古井少年は刑事に呼び止められた。

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