全国小津安二郎ネットワーク

小津監督を巡る文献・資料

『新潮』第百十九巻第八号(2022年8月7日発行(7月7日発売)、新潮社、372頁)

平山周吉「小津安二郎 第十九回 第十九章 臨終近し、日本映画界(286-296頁)
※冒頭を引用する。
 「生物の個体には週末の死がある。老人の身体は火葬場で焼かれる。その煙が青空に流れる。主人公の遺骸を焼く煙を画面に出した映画は世界に稀であろう。家族・親戚たちがその煙を見上げる。誰でも彼と更に自分の運命を思い、無常感に襲われるのが人間の本能であろう。黒いカラスが象徴的に現れる。地蔵さんの石仏が小津好みのフレームの中に並ぶ。外国人が見たら、ここから東洋哲学を感じとって賞讃するかも知れない。笠智衆と望月優子の農家の夫婦を数ショット出して喋らせたのは、人間の死が自然のいとなみとして行われる客観描写のつもりなのだろうが、このような配役をする必然性はないようだ(小倉真美「『小早川家の秋』に見る小津映画の特質」「キネマ旬報」昭和36・11・下)

最新の記事

カテゴリ

月別に見る

このホームページ内のテキスト・画像の無断使用はご遠慮下さい。