全国小津安二郎ネットワーク

小津監督を巡る文献・資料

『新潮』第百十七巻第十号(2020年10月7日発行(9月7日発売)、新潮社、364頁)

平山周吉「小津安二郎 第三回 第三章 「麦秋」の不可思議なキャメラ移動」(132-141頁)
※冒頭を引用する。
「円覚寺の「無」のお墓から始まったせいか、東慶寺にある小林秀雄の墓と、お墓の話題が続いてしまった。このまま続けるなら、「宗方姉妹」の田中絹代・山村聰夫妻と妹の高峰秀子が住む大森の家近くの猫のいる墓地だとか、「小早川家の秋」のラスト、火葬場近くにある石仏にカラスが我が物顔で乗っかった、「枯枝に烏のとまりたるや秋の暮」の芭蕉を俳諧化したような映像に進むのが自然かもしれない。それでもいいのだが、ここはもう少し、小津が「もののあはれ」という言葉を発した昭和二十六年(一九五一)に留まることにしたい。小津にとっては「麦秋」の年であり、サンフランシスコ講和条約が締結され、全面講和ではなく、単独講和(多数講和)によって国際秩序への復帰が決まった年である。占領の終わりは近づいていた。」(132頁)

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