全国小津安二郎ネットワーク

小津監督を巡る文献・資料

『婦人公論』第五百七号(1959年5月1日発行、中央公論社、390頁)

小津安二郎「もののあわれ映画論」(182-185頁)
 映画人として初の芸術院賞を受賞した監督が、そこはことない人生を賛美する。
※冒頭を引用する。
「★小市民ものの背景
僕は小市民映画を飽きずに撮っていると言われているが、僕自身「小市民映画」などと名付けたわけではなく、その昔、仲間の五所君も成瀬君も、亡くなった島津さんも、今から三十年前は皆同じような雰囲気の映画を撮っていた。と言うのは、当時、撮影所は蒲田にあったが、映画企業の機構が今と違って極めて貧弱で、セットもひどいし、ロケーションにも金をかけることができず、蒲田の近くでロケも大へん簡単に、粗末なセットでやることが多かった。そこで自然と、いわゆる小市民ものが、ボロが出なくて良いということになった。その結果、蒲田映画の主な作品系列が小市民ものになったのだと思う。二、三十年前は、そんな具合だったが、確かにそれを飽かずに現在もやっているとなると、僕だけかもしれない。」

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