全国小津安二郎ネットワーク

小津監督を巡る文献・資料

『中野映画劇場』(1941年11月6日発行、中野映画劇場、4頁)

「戸田家の兄妹 高峰三枝子、坪内美子」(1頁)
「次週上映 戸田家の兄妹 巨匠・小津安二郎作品」(2頁)
※「名監督の定評が一般観客にまで浸潤している小津安二郎の帰還第一作である。内容は富が人間性をそこなふテーマを上流家庭の家族を中心にして描いたものである。小津の倫理は観者の感性に深く滲みる訴求力を有している点、感銘価値豊富な作品である。単に都心の映画観客だけに鑑賞されるものではなく、ひろく、ふかく一般に通ずる感動をこの映画は孕んでいる。中略 由来小津安二郎の映画はその高き藝術価に比して、興行様態がさんたんたることを常とし、栗島すみ子・岡田時彦主演の「お嬢さん」を除けば一本のヒット作品もない非難を浴び続けて今日に至った。今回の小津作品が遂に作品価値と興行価とを立派に併有することを得たことには、さまざまな理由があるとしても所謂事業的な常識に則せず、よし興行に逃るるとも小津の厳粛なる匠魂を貫遂させ、今日の円満なる境地に到達させた城戸四郎のプロデューサー・ワークは製作界の範として讃賞す可きものである。小津作品に押し寄せる厖大な観衆をみて松竹大船撮影所長は感慨深きものがあったに違いない。」(映画旬報)

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