2021.04.02
『ていこくうゐくり』第八百一號(1937年11月11日発行、京都新京極帝國館、12頁)
「限りなき前進
原作 小津安二郎「愉しき哉保吉君」
脚色 八木保太郎
監督 内田吐夢
撮影 碧川道夫
キャスト 梗概」(4-5頁)
友田純一郎「限りなき前進」(7頁)
「映画に藝術を強力に意欲する二人の映画作家がこの作品のなかに確り結ばれている。と云う作品以前のはなしはさして重要ではないが、藝術を意欲するさへ稀な日本映画の中では小津安二郎が内田吐夢の演出する映画にシナリオを托した協同操作は、作品の成果を引き離してもわるくない話だ。しかも、この映画を完成するや、内田吐夢は、「先ず小津君にこの映画を見せたかった」との感慨を洩らしたほど自信に満ちた制作を終えたのである。われわれ映画人は林長の引抜き話のあれこれよりもこんな話を数多くきいて映画界のなかに生きていたいものであろう。(続く)」