表紙:岸恵子
「奈良を舞台に撮影快調 月は上りぬ」(66-67頁)
「月は奈良から上る」(数々の話題をまき注目を浴びた田中絹代監督の「月は上りぬ」の政策は愈々奈良ロケより開始された)
※冒頭を紹介する。
田中絹代第二回監督の「月は上りぬ」も、奈良のロケーションから撮影が始まり、今はセット撮影が順調に進んでいるが、この企画が発表になってから撮影に至るまで、映画界を賑わした数々の話題はすでに新聞や雑誌などで御承知の方もあることと思いますので、簡単にお知らせしますが、その前にこの「月は上りぬ」の脚本(小津安二郎、斎藤良輔)は、昭和二十三年に完成していて?今回の「月は上りぬ」のプロデューサー兒井英生が、小津監督と相談の結果、当時渡米中だった田中絹代の帰朝第一回の出演映画として小津監督が新東宝で製作すべく準備をしたことがあったものなのです。そして、その時の予定配役は、佐分利信、上原謙、佐野周二、入江たか子、原節子、高峰秀子と言う豪華配役を予定したゐたのですが、当時新東宝にあった兒井プロデューサーは、「宗方姉妹」の映画化を獲得しその準備も出来ていたので、田中絹代帰朝第一回の出演映画は、その「宗方姉妹」となり、「月は上りぬ」の脚本はそのままになってしまったのである。
そして、一昨年、監督協会の企画作品として「月は上りぬ」を兒井プロデューサーが日活に持ち込み、監督協会が監督として田中絹代をすいせんしたという形になったのである。
「大船撮影所付近」(148-150頁)
※ミカサ、月ヶ瀬、松尾食堂、グルーメなどの地図
一部紹介する。「食堂とその常連のこと 「月ヶ瀬」には、小津安二郎監督が頑張っていたが、フリーとなってからは余りみえない。奥の方で、飲んでいる小津監督の姿がみえないのは大船映画に一抹の寂しさを感じさせる。佐野周二もここのご常連だったが、今は佐田啓二が二代目となってNOー。
多聞堂岡村辰雄の書
装幀 安井曾太郎
表紙:香川京子
「特集 監督の知識①」
小津安二郎
➀明治36・12・12
②東京
③宇治山田中
④大正12松竹蒲田入社、大久保忠素監督のアシスタント
⑤昭和2「懺悔の刃」
⑥「大学は出たけれど」他
⑦「鎌倉市山ノ内1445」
かたくなに我城をまもる監督である。‥
「座談会『早春』快談 《当たる人》小津安二郎・野田高梧、司会:岸松雄」(8―19頁)
紐綴じ、発行日がないので、脚本が完成したのが、1955年6月24日なので、便宜的に1955年6月とした。
『早春』という題名
名匠小津安二郎監督二年ぶりの作品
「早春」脚本完成!
八月初旬撮影開始を期してロケハンを開始
※小津日記によれば、「1955年7月15日(金)三時横浜駅集合 京浜にて 六郷下車 蒲田ロケハン」とあるので、発行を1955年7月とした。
「巨匠小津安二郎監督 二年ぶりに待望のメガホン! 『早春』いよいよ撮影開始!」
「ちょっとお耳を 月間録音 小津安二郎監督の新作」(70-71頁)
※冒頭を紹介する。
一作年「東京物語」以来、新作に着手しなかった小津安二郎監督は松竹で二年ぶりに、「早春」の撮影に入ることとなった。脚本は例によって野田高梧氏と共同のもので、撮影開始は七月下旬か八月上旬。封切は十一月三週の予定となった。
待望久し!巨匠小津安二郎監督が二年ぶりに放つ超特作!
早春 スタッフ、キャスト、梗概、解説
表紙:マリリン・モンロー
小津安二郎・筈見恒夫対談「新作「早春」では、若い人々の生活を描こうと若返りの意気盛んな巨匠小津安二郎監督大いに語る」(106-111頁)
「小津監督と筈見さん、煙草を吸いながらの対談」、「晩春を演出する小津監督」、「宗方姉妹を演出する小津監督」、「東京物語を演出する小津監督」、「麦秋」のカット
池部、岸、白熱のラブシーン!
小津作品初の接吻場面展開で「早春」の撮影早くも高潮!
表紙:デビイ・レイノルズ
表情のニュアンス「早春の岸恵子」(6頁)
グラビア「小津安二郎監督 ”早春”撮影開始!」(9頁)
荻昌弘「”巨匠”という大監督の方々に 絶えざる自己破壊をのぞみたい」(34―35頁)
伊藤宣二「私の快心作 ベストワン 「麦秋」(小津作品)」(39頁)
「芸術祭への陣容 さて目下大船で最大の話題は何といっても小津安二郎監督の二年ぶりの仕事「早春」だ。珍しく若いサラリーマンの世界を描くもので、池部良、高橋貞二、岸恵子、藤乃高子、田浦正巳ら、小津監督にははじめての若い俳優たちが多いのも興味ある点。この作品、いまのところ製作三ヶ月の予定で晩秋には完成の筈だが、凝り性の小津監督のこと、或いは今年の芸術祭には間に合わないかもしれず、そうなると公開は、文字通り来年の早春になってしまうだろう。」(102頁)
表紙:ジェニファ・ジョーンズ
グラビア「早春 小津安二郎監督作品」(10-11頁)
※小津監督の「早春」演出風景4カット、そのうち1カットは、現在、本「小津ネット」ホームページのトップページを飾っているカットである。
表紙・扉 小津安二郎
目次・カット 浜田辰雄
里見弴「會話」(8-9頁)
津村秀夫「黄昏芸術の変化について-小津監督の『早春』を機会に」(10-15頁)
岸松雄「野田高梧 シナリオ作家銘々伝(一)」(16-23頁)
浜田辰雄「“早春”のセット」(24-27頁)
菅原通済「早春」(28-29頁)
原研吉「小津先生と小津組と僕」(30-35頁)
田代幸蔵「『早春』によせて師を語る」(36-37頁)
黒木川喬「小津さんを恋わずや」(37-38頁)
山内静夫「“早春”雑感」(39頁)
池田忠雄「むかしのはなし」(40-41頁)
野田高梧「『早春』日記」(42-46頁)
池部良・淡島千景「対談 『早春』」(47-48頁)
「野田高梧シナリオ目録」(49-53頁)
「小津安二郎監督作品目録」(54-55頁)
シナリオ「早春」(56-94頁)
淡島、池部、意欲満々の熱演によって
描き出される倦怠期夫婦の危機
小津安二郎監督「早春」撮影最高潮
野田高梧「シナリオの方法」(7-42頁)
「映画界 これでいいのか 出席者 永田雅一、小津安二郎、川喜多長政、大澤善夫、溝口健二」(192―201頁)
※一部抜粋する。川喜多「外人が、日本へ来て日本の料理を食べるときに我々は一番最初にはすき焼きを食べさせるんですね。それを外人は美味しいと言って食べるが、そのうち天ぷら、うな丼、それから、お寿司が分かったりして、最後には小津さんの『お茶漬けの味』のわかる外人もこの頃出ているんですよ。」
冬の海辺で初夏のハイキングシーン
名匠小津安二郎監督が三年ぶりに銀幕を飾る芸術巨篇
湘南茅ケ崎で大ロケ転回
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