
『新潮』第百十八巻第五号(2021年5月7日発行(4月7日発売)、新潮社、396頁)
平山周吉「小津安二郎 第九回 第九章 原節子結婚説-「痒い」平山「痒い」小津(224-234頁)
※冒頭を引用する。
「本誌 今日は『小津安二郎監督を語る』という題で、小津作品に縁の深い、また小津監督のお気に入りの皆さま方に‥。
淡島 嘘だァ(笑)
原 何云ってんの。今度の『お茶漬の味』にも出ているじゃァないの、淡島さんは‥。
淡島 だって、私なんかおつきあい一番浅いわ。『麦秋』と『お茶漬の味』の二本ですもの‥。
三宅 そういう意味でなくてさ、原さんなんか‥。
原 なアーに?
三宅 ご謙遜。
原 何を云っているのよ。私だって『晩春』と『麦秋』の二本よ。
三宅 その二本がねえー。(笑)
淡島 この中では、小津先生の作品に出演されたのは三宅さんが一番多いんでしょう?
三宅 そうでもないわ。最初が『戸田家の兄妹』で、『晩春』、『麦秋』、それから今度の『お茶漬の味』でしょう。四本だわ。
原 私たち二本ずつだから、三宅さんは私たちの倍しゃべらなくちゃァね。
淡島 そうよ、ねえー」
原節子と三宅邦子と淡島千景が和気藹々のうちに語る座談会「かっちりして大きい小津先生」の出だしのやりとりである。