5月8日の小津ネット総会で講演してくださった建築史家で東北大学大学院工学研究科教授の五十嵐太郎さんが、『建築ジャーナル』7月号に「映画と開口部について」という一文を寄せている。小津ネット講演のため五十嵐さんは小津と成瀬巳喜男を見直したという。
一部を引けば、「小津は徹底してローアングルから日本家屋の室内を撮影したことで知られるが、画面の両側は必ず襖や障子を配し、その枠組を反復して重層的な奥行きをつくる。
ただし、常にセットでつくられた部屋は、開口部の向こうにマットペイントの風景が描かれることはなく、屋根や塀で遮られており、また家の外観も撮影しなかった。孤立した家である」。
成瀬の『めし』の開口部にコミュニケーションが発生しているのと対照的と指摘する。小津の開口部が「孤立」しているというのは興味深い(中澤千磨夫)。
2016年7月号は、第1254号、「反電磁波講座+」特集、五十嵐太郎の先読み編集局というコーナーでの一文です。